
「深水たんぼ」で育つ、命あるお米 ~ 北海道・土井さんの田んぼ(6月)~
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6月、北海道の有機農家・土井さんの田んぼを訪ねました。
広大な景色の中に静かにたたずむ田んぼ。その水面をよく見ると、普通の田んぼよりもずっと水が深く張られています。
これが、土井さんが取り組んでいる「深水(ふかみず)たんぼ」です。
「深水たんぼ」「深水栽培」とは、田んぼの水位を通常よりも深く保つ栽培方法のこと。
考案したのは、農学者の稲葉光國(いなば みつくに)先生。有機稲作における草とのたたかいを軽減し、農薬や除草剤に頼らずに米作りを続けていくための、自然に寄り添った技術です。
水を深く張ることで、雑草の発芽を抑える効果があり、除草作業の負担を大きく減らすことができます。また、水温が安定しやすく、夏場の高温から稲を守ってくれるという利点もあります。稲葉先生はこの技術を「草と戦うのではなく、草を生やさないための環境づくり」と表現しています。
土井さんもこの方法を実践している一人。
「簡単そうに見えて、意外と手間はかかるんですよ」と笑いながらも、水位の微調整や田んぼの見回りには毎日欠かさず気を配っているそうです。深水にすると稲の根が浅くなりやすく、栄養管理にも工夫が必要。それでも、農薬を使わず、稲と自然の力を信じて育てる米づくりには、確かな誇りが感じられました。
深い水の中で静かに育つ稲、とても愛おしく感じました。
がんばれ! 土井さんのかわいい稲たち!
自然に寄り添い、命を育てる農業~
「深水たんぼ」は、有機農業のこれからを支える大切な知恵のひとつなのだと、土井さんの田んぼを見てあらためて実感しました。